山田珠樹街道をゆく(その3)

2 山田珠樹の再婚相手
 
 
今日出海「森茉莉とその良人」(「新潮」昭和34年2月)によると、
 
 
酒癖のいい方ではなかつた。不断は行儀がよく、フランス風というよりは独逸式の学者スタイルで、スマートな紳士だが、酒が定量を越すと、暴君になつた。私達には先生が暴君になつた方が親しみ易かつたので、よく飲みに出かけたものである。(中略)
先生は再婚したが、(中略)。今度の夫人も静かな人だが、形をなしていない家庭に形をつけることの出来ない人である。珠樹氏は荒みままに荒み、孤独な生活に沈湎し、稀にその反動で酒に浸つた。こんな自暴自棄みたいな生活は何等かのカタストロフを見ずに、終るものではない。遂に喀血して、七里ヶ濱の療養所に入院した。
 
 
 
森茉莉といい、山田珠樹といい、お互い再婚してもうまくいかなかったのである。
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